第 1 章 概説

WebSphere Product Center は、商品データを集中させて最適化する商品情報管理 (PIM) ソリューションを企業に提供します。そして、任意の個人、システム、パートナー、または顧客に、適切でユニークなコンテンツを配信します。WebSphere Product Center の企業ソリューションによって、費用が削減されるだけでなく、製品化に要する時間が劇的に短縮され、市場占有率および顧客満足度が増加します。

多くの業界において、業界特有の命令や規制に準拠したり、新しい収入源の開拓や費用を削減するための革新的な方法を見出すという点で、様々な課題に直面しています。こうしたビジネス・ニーズに首尾よく対処していくうえで不可欠なのは、単一で、信頼性のある、統合された商品情報を確立し、企業内部と外部の顧客や取引パートナーが使用できるようにすることです。

商品情報管理ソリューションである WebSphere Product Center を使用すると、正確で一貫性のある中央リポジトリーを確立し、商品、ロケーション、取引パートナー、組織および取引条件に関する情報を保管して管理するのに役立ちます。ユーザーはこの強力なツールによって、商品情報の管理、収集、リンク、および分類を効率的に行えます。

消費者商品小売業者および家庭用電化製品製造業者は、商品情報管理ソリューションを広く採用している主要な業界の例です。こうした業界では、正確でタイムリーな包括的商品情報を顧客や取引パートナーに配信して、販売を促進しつつ経費を節減できるかどうかに企業は依存しています。

また、こうした業界ではグローバル・データの同期化や電波方式認識 (RFID) などについてのイニシアチブに関する外部命令、e-コマースおよび企業間取引 (B2B) のイニシアチブを取るための要求、さらにはすべての顧客と取引パートナーのタッチ・ポイント間で商品情報に一貫性を持たせるための要求も存在します。WebSphere Product Center を使用すると、単一で信頼性のある商品情報のリポジトリーが提供できるので、これらの業界の会社はこうした各課題に効果的に取り組むことができます。


新しい動向

近年、商品情報の管理法に関する動向に変化が生じ、効果的な PIM インフラストラクチャーを合理化する点で多くの課題が生じてきました。

企業内の商品情報の最適化

今日のビジネス環境において、豊富で、正確な最新の商品情報は主要な戦略的資産となっており、持続的競争力を獲得する上で必要不可欠です。

メーカーおよびディストリビューターには、広範囲で、費用効率の高い商品情報が必要です。しかし、ほとんどの企業にはこうした非常に大きな可能性を十分に認識したインフラストラクチャーがありません。

今日の多くの企業では、商品情報の可能性を十分に実現するためのプロセスとシステムが不足しています。それゆえに、メーカーとディストリビューターは広範囲で、費用効率の高い PIM ソリューションとして、WebSphere Product Center に目を向け始めています。

課題

現在、多くの会社は商品情報プロセスを管理する点で、たくさんの問題や時間のかかるタスクに直面しています。

以下は、PIM ストラテジーをインプリメントする際にかぎとなる課題です。

WebSphere Product Center を使用すると、こうした問題は解決され、作業効率は上がり、保守費用が減少します。


概要

WebSphere Product Center は以下のものを提供します。

WebSphere Product Center の機能

WebSphere Product Center は、商品、ロケーション、取引パートナー、組織および取引条件に関する情報の組み込みやリンクなど、商品情報のあらゆる面を管理するための広範囲に及ぶ機能を提供します。 WebSphere Product Center の主要な機能には、以下のものがあります。

アイテム、ロケーション、組織、および取引パートナー・データ、さらには価格と取引条件を含めた相互間の結合などの多岐に渡る商品情報を管理できます。WebSphere Product Center を使用すると、アイテム、ロケーション、および取引パートナーに関する情報を、多様な種別、取引管理、地域、および操作階層によって管理できます。

WebSphere Product Center の豊富なデータ・モデルは以下の機能をサポートしています。

  • アイテムおよびアイテム間の様々な関係の管理 (パッケージ化、代替、関連商品販売、上位商品販売、バンドルまたはプリパッケージ)
  • ロケーション、ロケーション階層、およびロケーションに関連した様々な属性の管理
  • 最適なクラス・カテゴリー階層への送達サポート
  • 特定の属性および属性値のサポート
  • カテゴリー
  • ロケーション
  • 取引パートナー
  • 関係

多くの場合、商品情報は社内の幾つかの部門の複数ユーザーによって所有され、変更されます。WebSphere Product Center を使用すると、商品データの様々な属性をビジネス職責ごと (たとえば、物流管理、金融、価格設定、マーケティング、およびサプライヤーなど) に分割し、その役割に基づいたユーザー・アクション (表示専用、編集、承認) を管理できます。価格設定アナリストは価格設定を入力して更新できる一方、マーケティング・ユーザーは商品説明、フィーチャー、および利点を扱えます。各ユーザーは、最もセキュアで見やすいユーザー・インターフェースで、自分の役割に基づいた関連商品情報を参照できます。WebSphere Product Center の組織的モデル化とセキュリティーには、以下の機能が含まれています。

  • アクセス制御グループおよび選択による、ビジネス職責ごとのデータの区分
  • ユーザー役割ごとに許可されたユーザー・アクションに対する細かいセキュリティー提供
  • 機能領域ごとのグループ属性 (属性コレクション)
  • 属性グループの機能所有権に基づくユーザー・アクセスの指定
  • 役割ごとに直感的で見やすいユーザー・インターフェースによる属性ビューとタブの提供
  • 継承による冗長データ・エントリーの削減
  • 複数の言語にローカライズされた属性名と値のデータ管理
  • 最適なクラス属性レベル・ワークフローへの送達
  • 内部および外部コラボレーションのためのコラボレーション領域の使用可能化
  • 最良設計実例を使用した、J2EE アーキテクチャーの利点の組み合わせ
  • アプリケーション・サーバーのクラスター化のサポート
  • 高いユーザー並行性
  • 大規模データおよびバッチ処理能力
  • パワー・ユーザー向けに最適化された GUI
  • 多様なデータ形式および通信プロトコルのサポート
  • 外部データ・モデルとの双方向のマッピング用のデータ・マッピング・コンソール
  • WebSphere Business Integration を含む、主流となっているエンタープライズ・アプリケーション統合ツールとの、メッセージング・インフラストラクチャーを使用した容易な統合
  • UCCnet および Transora などの業界主流のデータ・プールとの認証された接続
  • Web ベースのユーザー・インターフェース
  • 時間ベースまたはイベント駆動型のスケジューリング用スケジューラー
  • データベース管理およびアプリケーション・サーバーのパフォーマンス・チューニング用のシステム管理ツール
  • 完全な監査証跡

WebSphere Product Center の利点

WebSphere Product Center の機能は、クライアントに多大の益をもたらすものとなります。クライアントは、業界内の命令や規定に対応できますし、増収する一方で費用を削減する機会を作り出すことが可能です。小売業者、消費財メーカー、および家庭用電化製品メーカーを含む、既に WebSphere Product Center を導入している業界では、そのインプリメンテーションによる多くの利点を十分に認識しています。こうした利点を、広範囲な業界の顧客にも広げて、商品情報管理のニーズを満たすことができます。WebSphere Product Center を使用する顧客は、以下の事柄が可能です。


WebSphere Product Center コンポーネント

WebSphere Product Center の各コンポーネントは、役割ベースのモジュール方式設計に基づいているので、ユーザーは商品情報管理サイクルにおける自分の役割を簡単に解釈できます。

役割ベースのモジュラー設計

前のセクションで示されていたように、WebSphere Product Center の各モジュールはユーザー役割とすり合わせされています。役割ベースのモジュラー設計によって、ユーザーは自らの役職に関連した情報に注目できるので、学習曲線を短縮し、商品トレーニングを早めることができます。

モジュール

役割名

役割の説明

プロダクト・マネージャー

コンテンツ管理者 / 商品の専門家

コンテンツを管理するために WebSphere Product Center を頻繁に使用するユーザー

コラボレーション・マネージャー

および

データ・モデル・マネージャー

ビジネス・プロセス・アナリスト

コンテンツ管理者用のデータ・モジュールおよびビジネス・ルールの設定を担当するユーザー

システム管理者

システム管理者

WebSphere Product Center アプリケーションおよび関連するサービスの実行に責任を持つユーザー