分散アプリケーションの問題の判別

標準化されたデータ・コレクションは、Test and Performance Tools Platform プロジェクトで示されたコア・テクノロジー要件の 1 つです。ログおよびトレース・アナライザーは、このテクノロジーを利用する最初のプログラムとして、開発者やサポート担当者向けに、現行の Eclipse ツールを基に開発されました。

配置システムのさまざまなコンポーネントが作成するログおよびトレースを処理するための、単一の操作ポイントを提供するインターフェースが設計されました。これら 2 つのセットのツール (トレースとロギング) をリンクすることにより、アプリケーションとミドルウェアの問題判別とデバッグの間のギャップを埋めることができます。このツールでは、カスタマー・アプリケーションの分散スタック内にあるイベントを取り込んでエンドツーエンドに相関させることにより、分散アプリケーションの問題をより構造的に分析することができます。また、このツールにより、1 人の担当者が 1 つのシステム内で問題をデバッグし、解決することが、より容易で高速になります。

複数の製品で構成されるシステムで問題の根本原因を判別することは、困難な場合があります。すべての製品は、トレース・レコード、ログ・レコード、およびメッセージなど、問題判別データを作成します。ただし、問題判別データは、異なる製品間や、異なるサーバー上の製品間では簡単に相関できません。それぞれの製品の問題判別データは、システム問題全体に対して、小さなウィンドウからのビューしか提供できません。タイム・スタンプは十分ではありません。タイム・スタンプは十分に細分化されておらず、クロックはサーバー間で同期していないことがよくあります。これらの問題すべてが問題の切り分け作業 (つまり、問題の根本原因がどのサーバーで、どの製品で、何なのかを判別すること) を非常に困難なものにしており、システムの複雑さとサイズが増すにつれ、さらに複雑になります。

ログおよびトレース・アナライザーを使用すると、さまざまなログ・ファイル、およびログ・ファイルの分析に使用できる症状データベースをインポートできるため、この複雑さが軽減されます。今日のソリューションにおける問題判別の中核となる問題は、製品間の問題判別データが相関されていないことです。つまり、1 つの製品によって収集されたイベントと、別の製品によって収集されたイベントとの関係を容易に判別できないということです。現在では、ログおよびトレース・アナライザーにより、複数の製品からのログ・ファイル (またはトレース・ファイル) のインポートと分析、およびこれらの製品によって収集されたイベント間の関係 (相関) の判別を可能にすることにより、この問題に対処できるようになっています。

ログおよびトレース・アナライザーのすべての基本インフラストラクチャーは、 Eclipse Test and Performance Tools Platform プロジェクトにおいてオープン・ソースとして公開されています。 

ログおよびトレース・アナライザーが提供する機能の要約を以下に示します。

ログ・ファイルのインポート
ログ・ファイルのインポート

ログおよびトレース・アナライザー・ビュー
「ログ」ビュー
「ログ相互作用」ビュー (相関)
「ログ・スレッド相互作用」ビュー (相関)
「症状分析結果」ビュー

症状データベースと分析エンジン
症状データベース
症状データベース・エディター
症状データベースの作成
症状データベースのインポート
症状データベースの編集
症状データベースの使用
症状データベースのエクスポート

ログ・ファイルの分析
ログ・ファイルの分析
ロギング・ユーティリティーのサポート
ロギング設定を設定する

関連概念
症状データベース
共通ベース・イベント・モデル
ログ・ファイル相関
「ログ」ビュー
プロファイル・ツールの概説

関連タスク
ロギング設定を設定する
ログ・ファイルの分析
症状データベースのインポート

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