マルチキャスト・ブローカーの設定

マルチキャスト・ブローカーのセットアップは、Message Brokers Toolkit または 構成マネージャー・プロキシー Java API のいずれかを使用することによって行えます。このトピックは、Message Brokers Toolkit の使用法を説明します。 構成マネージャー・プロキシー (CMP) の使用法については、『CMP Java API を使用するアプリケーションの開発』およびクラス com.ibm.broker.config.proxy.BrokerProxy.MulticastParameterSet を参照してください。

ブローカーでマルチキャスト要求を処理できるようにするには、以下のようにします。

  1. 「ブローカー管理」パースペクティブに切り替えます。
  2. 「ドメイン」ビューで、該当するブローカー・ドメインを展開します。
  3. 「トポロジー」項目をダブルクリックして、ブローカー・トポロジー・エディターを開きます。
  4. ブローカー・トポロジー・エディターで、変更するブローカーを右マウス・ボタンでクリックし、「プロパティー」を選択します。
  5. プロパティー・ウィンドウの左のパネルで「マルチキャスト」を選択します。
  6. 「マルチキャストが使用可能」チェック・ボックスを選択します。
  7. オプション: 下記のプロパティーを変更します。変更されないプロパティーでは、 デフォルト値が使用されます。
    プロトコル・タイプ
    マルチキャスト・プロトコル・タイプ。

    有効な値は "PTL"、"PGM/IP"、および "UDP encapsulated PGM" です。 デフォルト値は "PTL" です。

    これらのマルチキャスト・プロトコル・タイプの説明は、マルチキャスト・プロトコル・タイプ を参照してください。

    最小アドレス
    ブローカーがマルチキャスト伝送のために使用できる最小 IP アドレス。

    これは、224.0.0.0 から 239.255.255.255 の範囲になります。 デフォルト値は 239.255.0.0. です。

    最大アドレス
    ブローカーがマルチキャスト伝送のために使用できる最大 IP アドレス。

    これは、224.0.0.0 から 239.255.255.255 の範囲でなければならず、最小アドレスの値より低くてはなりません。 デフォルト値は 239.255.255.255 です。

    データ・ポート
    マルチキャスト・パケットの送受信に使用される UDP データ・ポート。

    デフォルト値は 34343 です。

    ブローカー・パケット・サイズ
    マルチキャスト・パケットのサイズ (バイト単位)。

    500 から 32000 の範囲になります。 デフォルト値は 7000 です。

    ブローカー・ハートビート・タイムアウト
    ブローカーは、各クライアントに制御パケットを周期的に、だいたい毎秒送信します。 このパケットは、さまざまな制御情報を送信し、ハートビートを維持するために使用されます。 ハートビート・タイムアウト値は、クライアントが送信側障害またはネットワーク障害を検出できるように、 クライアントに知らされます。 制御パケットが、前の制御パケットの (このプロパティーで指定した値の 2 倍で定義された) 到着秒数以内で到着しない場合、 クライアントは、送信側障害またはネットワーク障害が生じたことを疑うことができます。

    デフォルト値は 20 です。

    ブローカー・マルチキャスト TTL
    マルチキャスト・パケットがクライアントとブローカーの間に作成できる最大ホップ数。 クライアントとブローカー間に存在できるルーターの最大数より 1 つ大きな値になります。

    デフォルト値は 1 です。この場合、マルチキャスト・パケットは発信元に残されたままで、 ルーターを移動することはありません。 最大値は 255 です。

    値 0 を使用しないでください。これによりメッセージを受信できなくなるオペレーティング・システムがあります。ただし、値 0 を使用しても影響がないオペレーティング・システムもあります (Windows 2000、Windows XP、および Linux など)。

    ブローカー・ネットワーク・インターフェース
    マルチキャスト・パケットが伝送されるネットワーク・インターフェースの名前。 これは、ブローカーが、ホスト上で、複数のネットワーク・インターフェースで実行される場合にのみ関係します。

    これは、ホスト名または IP アドレスにすることもできます。 デフォルトは 'なし' です。 デフォルト値を選択する場合、使用されるネットワーク・インターフェースは、 オペレーティング・システムによって異なります。

    マルチキャスト・トピック動作の重複
    「受諾」、「拒否」、または「復帰」を選択します。

    「マルチキャスト・トピック動作の重複」プロパティーは、 マルチキャストが明示的に使用不可にされているトピックを含むトピック階層の一部であるトピックに対して クライアントがマルチキャスト・サブスクリプションを要求する際のブローカーの動作を制御します。

    例えば、multicast が 2 つの子を持つトピックであり、foo ではマルチキャストが使用可能で、bar ではマルチキャストが使用不可であるトピック階層を考慮してください。

    指定できる設定は、以下の 3 つです。
    受諾
    一致するマルチキャスト・サブスクリプションが受け入れられ、特に除外したパブリケーションを除き、 トピックと一致するすべてのパブリケーションがマルチキャストされます。 上記の例では、multicast/# に対するマルチキャスト・サブスクリプションで、 マルチキャストによって foo でパブリッシュされたメッセージを受け取りますが、bar でパブリッシュされたメッセージは受け取りません。
    拒否
    マルチキャストが使用不可にされている子を持つトピックに対するマルチキャスト・サブスクリプションは、 ブローカーによって拒否されます。 multicast/# へのサブスクリプションは拒否されます。
    復帰
    マルチキャストが使用不可になっているトピックに対するサブスクリプション、 またはマルチキャストが使用不可になっている子を持つトピックに対するサブスクリプションは、 ユニキャスト伝送になります。 multicast/# に対するマルチキャスト・サブスクリプションでは、foo および bar でパブリッシュされたメッセージを受け取りますが、 メッセージはマルチキャストではなくユニキャストで送信されます。

    デフォルト値は「受諾」です。

    鍵の最大経過時間
    最大経過時間の再定義が必要になるまでの、トピック暗号鍵の最大経過時間 (分単位)。

    デフォルト値は 360 です。

  8. オプション: マルチキャストの隣にある + をクリックし、「拡張」をクリックします。 これで、以下の追加プロパティーを変更できます。
    ブローカー伝送速度制限の活動化
    「ブローカー伝送速度制限の活動化」プロパティーは、 「ブローカー伝送速度制限値」と共に、ネットワーク輻輳の制御に使用します。ドロップダウン・メニューから以下のいずれかの値を選択します。
    使用不可
    マルチキャスト・データはできる限り高速で伝送されます。マルチキャストで伝送されるメッセージの伝送速度がマシンまたはネットワークの制限を超える場合 (つまり、イーサネットの速度またはホスト CPU がボトルネックとなる場合)、これらの制限は最大伝送速度を定義し、前にサブミットされたすべてのメッセージが送信されるまでメッセージ伝送が停止されます。
    静的
    伝送速度は、「ブローカー伝送速度制限値」で指定した値によって制限されます。
    動的
    実行時の伝送速度の制限は、輻輳条件とクライアントによって報告されるデータ損失によって異なります。 しかし、この速度が「ブローカー伝送速度制限値」を超えることはありません。

    デフォルトは、「使用不可」です。「静的」を選択する場合、プロパティー「ブローカー伝送速度制限値」の値も選択できます。

    ブローカー伝送速度制限値
    これは、マルチキャスト・パケットの伝送速度全体を制限します (1 秒あたりの K ビット (Kb) 単位)。 このパラメーターは、「ブローカー伝送速度制限の活動化」プロパティーが、 「静的」の場合にのみ有効です。 このプロパティーはマシンやネットワークの能力を越えてはなりません。

    この値の範囲は 10 から 1,000,000 になります。

    クライアント NACK バック・オフ・タイム
    クライアントが自身の NACK を送信する前に、別のクライアントの NACK を listen する最大時間 (ミリ秒)。

    この値の範囲は 0 から 1000 になります。 デフォルト値は 100 です。

    クライアント NACK 検査期間
    受信状況の定期的なチェックと NACK 作成のシーケンス・ギャップ検出の間の時間間隔 (ミリ秒)。

    この値の範囲は 10 から 1000 になります。 デフォルト値は 300 です。

    クライアント・パケット・バッファー数
    パケット受信の開始時に作成されるメモリー・バッファーの数。 たくさんのバッファーを使用可能にすると、メモリー使用率は増加しますが、 受信のパフォーマンスが向上し、高送達速時のパケット損失を最小限に抑えられます。 各バッファーは 33 KB です。500 バッファー (デフォルト値) がある場合、 約 15 MB のメイン・メモリーを使用することになります。

    メモリー使用率が重要な場合、このプロパティーに別の値を使用し、 伝送速度が高速になった場合のアプリケーションのパフォーマンス全体に対する影響を確認してください。

    この値の範囲は 1 から 5000 になります。 デフォルト値は 500 です。

    クライアント・ソケット・バッファー・サイズ
    クライアントのソケット受信側バッファーのサイズをキロバイトで示します。 この値を増やすと、クライアント受信側によって除去される可能性のあるデータ・パケット数が削減されます。

    この値の範囲は 65 から 10000 になります。 デフォルト値は 3000 です。

    ブローカー・ヒストリー消去時間
    再送信バッファーを消去するために定義される時間 (秒単位)。

    この値は 1 から 20 の範囲になります。 デフォルト値は 7 です。

    注: このプロパティーは、バージョン 6 では使用されません。
    ブローカー最小ヒストリー・サイズ
    すべての伝送パケットのアーカイブとして割り振られるバッファーの最小サイズ (キロバイト)。 このバッファーは、信頼できるすべてのトピックによって共用され、 失われたパケットを回復するのに使用できます。

    この値の範囲は 1000 から 1,000,000 になります。 デフォルト値は 60,000 です。

    ブローカー NACK 累積時間
    回復したパケットが送信される前に、NACK がブローカー内に集約されるのに要する時間(ミリ秒)。

    この値の範囲は 50 から 1000 になります。 デフォルト値は 500 です。

    最大クライアント・メモリー・サイズ
    クライアントの受信バッファーが使用できるメモリーの最大量 (キロバイト)。

    このプロパティーは、PGM マルチキャスト・プロトコルに対してのみ適用できます。デフォルト値は 262,144 (256 MB を表す) です。

    重要: 「ブローカー最小ヒストリー・サイズ」などのプロパティー値を増やすと、Java 仮想マシン (JVM) で必要なメモリー量が増えることに注意してください。これにより、この変更後初めてブローカーへのサブスクリプションを行ったときに「JVM メモリー不足」エラーが発生する場合があります。このエラーが発生すると、JVM ヒープ・サイズを増やすか、増やしたプロパティーの値 (「ブローカー最小ヒストリー・サイズ」など) を減らしてください。
  9. 「OK」をクリックします。
  10. ブローカーを再始動してください。変更を有効にするためにはそうしなければなりません。

マルチキャストを使用する前に、 マルチキャストであることが可能なトピックを定義する必要があります。

ブローカーのマルチキャスト構成を変更するときの推奨される方法は、 ワークベンチを使用することです。 ただし、コマンド mqsichangeproperties を使用して、 ブローカーのプロパティーを変更することも可能です。

以下の表では、上述のプロパティーを、マルチキャストをサポートする mqsichangeproperties コマンドの対応するパラメーター名に関連付けています。mqsichangeproperties コマンドの詳細は、mqsichangeproperties コマンドにあります。
プロパティー名 mqsichangeproperties パラメーター
マルチキャストが使用可能 multicastEnabled
プロトコル・タイプ multicastProtocolType
最小アドレス multicastAddressRangeMin
最大アドレス multicastAddressRangeMax
データ・ポート multicastDataPort
ブローカー・パケット・サイズ multicastPacketSizeBytes
ブローカー・ハートビート・タイムアウト multicastHeartbeatTimeoutSec
ブローカー・マルチキャスト TTL multicastMCastSocketTTL
ブローカー・ネットワーク・インターフェース multicastMulticastInterface
マルチキャスト・トピック動作の重複 multicastOverlappingTopicBehavior
鍵の最大経過時間 multicastMaxKeyAge
ブローカー伝送速度制限の活動化 multicastLimitTransRate
ブローカー伝送速度制限値 multicastTransRateLimitKbps
クライアント NACK バック・オフ・タイム multicastBackoffTimeMillis
クライアント NACK 検査期間 multicastNackCheckPeriodMillis
クライアント・パケット・バッファー数 multicastPacketBuffers
クライアント・ソケット・バッファー・サイズ multicastSocketBufferSizeKbytes
ブローカー・ヒストリー消去時間 (V6 では使用すべきでない) 適用されません
ブローカー最小ヒストリー・サイズ multicastMinimalHistoryKBytes
ブローカー NACK 累積時間 multicastNackAccumulationTimeMillis
最大クライアント・メモリー・サイズ multicastMaxMemoryAllowedKBytes
ブローカー WBRK_BROKER でマルチキャストを使用可能にするには、 以下のコマンドを使用します。
   mqsichangeproperties WBRK_BROKER -o DynamicSubscriptionEngine -n multicastEnabled -v true
これにより、ブローカーでマルチキャストが可能になりますが、 ブローカーの他のプロパティーは変更されません。
ブローカー WBRK_BROKER でマルチキャストを使用可能にして、 伝送速度を 1 秒あたり 50,000 K ビットに制限するには、以下のコマンドを使用します。
      mqsichangeproperties WBRK_BROKER -o DynamicSubscriptionEngine -n multicastEnabled,
    multicastLimitTransRate,multicastTransRateLimitKbps -v true,Static,50000
ブローカーの他のプロパティーは変更されません。

変更するプロパティーやその値を区切るには、コンマを使用するようにしてください。

変更を有効にするには、ブローカーを再始動する必要があります。

警告: mqsichangeproperties を使用してブローカー構成に加えられた変更は、 ブローカー構成がデプロイされると必ず、構成マネージャーに保持されている構成によって上書きされます。

関連概念
マルチキャストのパブリッシュ/サブスクライブ
マルチキャスト・プロトコル・タイプ
関連タスク
ブローカー・プロパティーの変更
トピックをマルチキャストにする
関連資料
「ブローカー管理」パースペクティブ
mqsichangeproperties コマンド
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Copyright IBM Corporation 1999, 2006 最終更新: 08/21/2006
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