Rational Build Forge と Rational ClearCase
BuildForge は、コード・ソース管理のために Rational ClearCase と協働することができます。
このトピックでは、Rational ClearCase との統合のための追加セットアップ要件について説明し、用意されているサンプル・アダプター・テンプレートの特性を要約します。
ClearCase のアダプター・テンプレート・サンプルでは、ベースラインに対する変更内容を分析する方法が提供されます。 通常、変更分析はビルド回避のために使用されます。ベースライン・コンポーネントが変更されていない場合、再ビルドは行われません。
ClearCase アダプターのための追加セットアップ要件
一般要件については、アダプター要件を参照してください。 アダプターの一般要件を満たす他に、以下を行ってください。
- Build Forge エージェントを、ClearCase サーバーに接続可能なホスト上にインストールします。
- エージェント・ホストに ClearCase のフル・クライアントをインストールします。
- ClearCase クライアントからコマンドを実行できるように、エージェントの環境をセットアップします。
- 必要な ClearCase ビューを実装する方法、およびそのビューをいつどのように開始するかを決定します。提供されるテンプレートでは、動的ビューを使用することを前提としており、cleartool コマンドの実行時にそのビューを開始します。エージェント・ホストに ClearCase のフル・クライアントをインストールします。

ClearCase ビュー
ClearCase では、データにアクセスする手段としてビューを使用します。使用できるビューには次の 2 つのタイプがあります。- 動的ビュー: 動的ビューを使用すると、指定した VOB 内の最新バージョンのエレメントを、ローカル・システムにコピーしなくても表示することができます。これは必ず起動してください。このビューでマウントする VOB を指定します。
- スナップショット・ビュー: スナップショット・ビューはリポジトリーのコピーです。 使用するオブジェクトのバージョンを指定できます。チェックインされた最新項目を取得するには、スナップショット・ビューを手動で更新する必要があります。
- 動的ビュー
- 動的ビューには、表示対象として選択したビュー・コンテキストの変更時に常に更新されるワークスペースが示されます。チェックアウトしたエレメントのみがワークスペースにコピーされます。他のユーザーが使用できるようにするにはそれらのエレメントをチェックインする必要があります。動的ビューを使用する場合、以下の 3 つを指定して、必要なデータにアクセスします。
- ビュー: (構成仕様を使用して) 表示するバージョンのリストを定義します。ビューはコマンドを使用して開始する必要があります。ビューは、コンテンツのルート・ディレクトリーとして、ローカル・ディスク上に示されます。これはビュー・ルートとも言います。一般的に使用されるディレクトリーは以下のとおりです。
- Windows の場合: ドライブ M: (共有ドライブ)
- UNIX または Linux の場合: /view (マウント済みファイル・システム)
- ビュー・コンテキスト: ビュー・タグを介して使用するコンテンツのディレクトリーを定義します。ビュー・タグは ClearCase で定義されます。ビューを開始すると、ディレクトリーが使用可能になります。
- VOB (バージョン付きオブジェクト・ベース): ビュー・コンテキストのサブディレクトリーを定義します。VOB は ClearCase で定義されます。VOB はビュー・コンテキストで明示的にマウントします。このサブディレクトリーには、バージョン付き成果物 (ソース・ファイルとその他の成果物) が含まれます。
ローカル・マシン上の VOB のパスは、以下のように、これらの 3 つの項目で構成されます。
- Windows システムの場合、デフォルトのパスは M:¥view_tag¥vob_name になります。
- UNIX システムおよび Linux システムの場合、デフォルトのパスは /view/view_tag/vob_name になります。
- ビュー: (構成仕様を使用して) 表示するバージョンのリストを定義します。ビューはコマンドを使用して開始する必要があります。ビューは、コンテンツのルート・ディレクトリーとして、ローカル・ディスク上に示されます。これはビュー・ルートとも言います。一般的に使用されるディレクトリーは以下のとおりです。
- スナップショット・ビュー
- スナップショット・ビューを使用する場合は、ビュー・コンテキストを指定します。また、データをロードする必要もあります。これにより、指定したすべてのデータのローカル・コピーが作成されます。データを最後にロードしてからチェックインされた変更を反映させるには、スナップショット・ビューを再ロードする必要があります。
動的ビューをサポートする Rational Build Forge のフィーチャー
特別な環境変数を使用して、動的ビューを定義して Build Forge ジョブで開始することができます。- CLEARCASE_VIEW
- 指定された ClearCase ビューを開始する。この変数で指定されるビューが存在しており、この変数を使用するステップが「絶対」に設定されている必要があります Microsoft Windows が稼働しているシステムでは、bfagent.conf 内のエージェントの cc_suppress_server_root パラメーターとともにこの変数を使用する必要があります。
- _CLEARCASE_VIEWS
- コマンドを実行する前に開始する ClearCase ビューのリストを指定する。 ビューのコンマ区切りのリストに値を設定します (「View1,View2,View3」など)。
- _CLEARCASE_VOBS
- コマンドを実行する前にマウントする ClearCase VOB のリストを指定する。 VOB のコンマ区切りのリストに値を設定します (「¥Vob1,¥Vob2,¥Vob3」など)。
エージェント・ホスト上でビューを管理するには、エージェント・パラメーターを使用する必要がある場合もあります。ClearCase で使用しているエージェントが Windows システム上で稼働している場合は、エージェント・パラメーターを設定する必要があります。これらのパラメーターは、このエージェントを通じて使用するビュー・ルートがジョブで設定されたビュー・ルートとは異なる場合にも役立ちます。複数のエージェントでジョブを使用しており、エージェント・ホスト・システムごとに異なる仕様が必要な場合などが考えられます。
- ccviewroot root-path
- このホストのデフォルトのビュー・ルートを指定します。詳しくは、ClearCase の資料に記載されている init の説明を参照してください。
内部デフォルト値は以下のとおりです。
- Windows systems: ccviewroot M:
- UNIX または Linux システムの場合: ccviewroot /view
- cc_suppress_server_root
- これを設定した場合、ビューのパスは ccviewroot によって設定されたパスになります。 設定していない場合は、ccviewroot によって設定されたパスに、サーバー定義で設定されたパスが付加されます。 この設定に値は必要ありません。 bfagent.conf にこの設定があれば、設定されていることになります。
ClearCase のアダプター・テンプレート・サンプル
以下のアダプター・テンプレート・サンプルが用意されています。
- ClearCaseBaseline
- ClearCase ビューのディレクトリーをスキャンします。
- ClearCase からレポートされた分岐およびバージョン情報を BOM レポートに書き込みます。
使用される変数は以下のとおりです。
- INT_STREAM
- VIEW
- PROJECT_VOB
- CCSERVER
- UNIXCLIENT
- ClearCaseByBaselineActivities
- ClearCase ビューのコンテンツから新規ベースラインを作成します。
- 新規ベースラインと、前のアダプター実行でのベースラインを比較して、変更アクティビティーを特定します。
- 各変更アクティビティーに関して、次の情報を BOM レポートに書き込みます: アクティビティー、変更されたファイル、ユーザー、日付、コメント、およびバージョン。
- 変更されたファイルごとに、(diff コマンドの出力から得られる) 変更詳細を BOM レポートに書き込みます。
使用される変数は以下のとおりです。
- CurDate
- LAST_RUN
- BASELINE
- VIEW
- VOB_PATH
- PROJECT_VOB
- CCSERVER
- UNIXCLIENT
- ClearCaseByBaselineVersions
- ClearCase ビューのコンテンツから新規ベースラインを作成します。
- 新規ベースラインと、前のアダプター実行でのベースラインを比較して、変更されたファイルを特定します。
- 変更された各ファイルに関して、次の情報を BOM レポートに書き込みます: ファイル名、バージョン、日付、ユーザー、およびコメント。
- 変更されたファイルごとに、(diff コマンドの出力から得られる) 変更詳細を BOM レポートに書き込みます。
使用される変数は以下のとおりです。
- CurDate
- LAST_RUN
- LABEL
- BASELINE
- VIEW
- VOB_PATH
- PROJECT_VOB
- CCSERVER
- UNIXCLIENT
- _CHAR_NATIVE
- ClearCaseByDate
- 2 つの日付の間に変更がないか、ClearCase ビューを照会します。 デフォルトの日付は、現行のタイム・スタンプおよび前のアダプター実行時のタイム・スタンプです。
- 変更された各ファイルに関して、次の情報を BOM レポートに書き込みます: ファイル名、バージョン、日付、ユーザー、およびコメント。
- 変更されたファイルごとに、(diff コマンドの出力から得られる) 変更詳細を BOM レポートに書き込みます。
使用される変数は以下のとおりです。
- CurDate
- LAST_RUN
- LABEL
- BASELINE
- VIEW
- VOB_PATH
- PROJECT_VOB
- CCSERVER
- UNIXCLIENT
- _CHAR_NATIVE
- ClearCaseByLabel
- 新規ラベルを作成して、ClearCase ビューのコンテンツに適用します。
- 新規ラベルと、前のアダプター実行でのラベルを比較して、変更されたファイルを特定します。
- 変更された各ファイルに関して、次の情報を BOM レポートに書き込みます: ファイル名、バージョン、日付、ユーザー、およびコメント。
- 変更されたファイルごとに、(diff コマンドの出力から得られる) 変更詳細を BOM レポートに書き込みます。
使用される変数は以下のとおりです。
- CurDate
- LAST_RUN
- LABEL
- BASELINE
- VIEW
- VOB_PATH
- PROJECT_VOB
- CCSERVER
- UNIXCLIENT
- _CHAR_NATIVE
ClearCase のアダプター変数
この表は、アダプター・テンプレートの変数リストのリファレンスです。
環境変数名 | 説明 |
---|---|
BASELINE | ByBaseline アダプターの場合、ご使用のアダプターを使用して、ベースラインごとに違いが生じると、システムは、この値をベースラインとして使用します。 |
CCSERVER | この変数を、ClearCase クライアントおよび Build Forge エージェントがインストールされているホストの名前に設定します。 |
CurDate | 現在の日付をアダプターに指定し、.date コマンドを使用して、ClearCase が予期する書式で日付を生成します。この値は変更しないでください。 |
LABEL | ByLabel アダプターの場合、ご使用のアダプターを使用して、(ByLabel アダプターに付く) ラベルごとに違いが生じると、システムは、この値をラベルとして使用します。 |
LAST_RUN | ByDate アダプターの場合、システムはこの値を使用して、何らかの変更が発生したか判別します。この値は、最後に正常に実行されたときの日付です。 アダプターのテストの際には、この値を操作し、変更より前であると分かっている日付を取り出して、アダプターを強制的に実行させることができます。アダプターが実行の継続を許可した場合、この値は、現在の日付に自動的に更新されます。 デフォルト値は、1-Jan-05.00:00:00 です。 |
PROJECT_VOB | ByBaseline アダプターを使用する場合、この変数を、プロジェクト VOB (UCM ClearCase のみで使用される) の名前に設定します。例: ¥ProjectVob |
UNIXCLIENT | プラットフォーム固有の情報を設定するために使用されます。 クライアントが Windows 上で実行されている場合は、0 に設定します。 クライアントが UNIX または Linux 上で実行されている場合は、1 に設定します。 |
VIEW | この変数を、アダプターで使用する ClearCase ビューの名前に設定します。 |
VOB_PATH | この値を、コンポーネント VOB の名前 (オプションで、そのサブディレクトリー) に設定します。名前が複数ある場合は、コンマ区切りのリストを使用します。 |
_CHAR_NATIVE | 内部で使用され、常に 1 に設定されます。 |
ビューの開始および VOB のマウントのために、以下のトリガー変数が使用されることもあります。 ただし、これらはアダプター変数で設定されるビューおよび VOB とは無関係です。
- CLEARCASE_VIEW
- _CLEARCASE_VIEWS
- _CLEARCASE_VOBS
トリガー変数のリファレンスを参照してください。