アクセス権限および継承

アクセス権限のセットアップを容易にするため、Rational DOORS には強力な継承のしくみが用意されています。データベースで項目を作成すると、その項目のアクセス権限が、項目の親から自動的に継承されます。アクセス権限の変更は、データベース・ツリー全体に波及します。ただし、継承がオフになっている項目とその直接の下位には影響しません。

親からの継承」を選択解除することにより、継承をオフにできます。アクセス権限のリストが使用可能になり、リストを編集して別のアクセス権限をセットアップできます。項目のすべての子は、そのプロパティーを編集して継承をオフにしない限り、新しいアクセス権限を継承します。

以下の図では、項目の階層には共通の祖先 A があります。「親からの継承」フィールドでは、A および D を除いてすべての項目で継承がオンであることが示されます。

アクセス権限がどのように継承されるか

オレンジ色の項目 (B、C、E、および H) は、A からアクセス権限を継承します。青色の項目 (F および G) は、D からアクセス権限を継承します。

A のアクセス権限を変更した場合、その変更は、他のオレンジの項目 (B、C、E、および H) に自動的に適用されます。変更は、ツリー全体にわたって、A からアクセス権限を継承しているすべての項目に波及します。同様に、D のアクセス権限を変更した場合、その変更は、他の青の項目 (F および G) に自動的に適用されます。

乗用車開発プロジェクトを管理しており、John、Sue、Mark、および Jane からなるエンジニアリング・グループを立ち上げた場合について考えます。乗用車開発プロジェクトに属する全データのフル・アクセス権限をエンジニアリング・グループの全員に割り当てたいとします。

乗用車開発プロジェクトのアクセス権限をセットアップし、そのプロジェクトに対するフル・アクセス権限をエンジニアリング・グループに与えます。プロジェクトでデータを作成すると、そのデータがアクセス権限をプロジェクトから継承するので、エンジニアリング・グループはそのプロジェクトのすべてのデータに対するフル・アクセス権限を持ちます。

その後、方針を変えて、この乗用車開発プロジェクトに属するデータのフル・アクセス権限を John に与え、グループの他のメンバーには読み取り権限のみを与えるとします。乗用車開発プロジェクトのアクセス権限を以下のように変更します。
  • エンジニアリング・グループのエントリーを読み取り権限に変更します。
  • John のエントリーを追加し、フル・アクセス権限を与えます。
乗用車開発プロジェクトではすべてのデータで継承がオンになっているので、これらの変更はすべてのデータに自動的に適用されます。

ただし、Sue と Mark は設計モジュールを記述しているので、彼らにはそのモジュールに対するフル・アクセス権限を与えたいとします。設計モジュールの継承をオフにし、Sue と Mark にそのモジュールに対するフル・アクセス権限を与えるアクセス権限エントリーをそれぞれ追加します。


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