式の書き方: 高度な例

このトピックの例を参考にしながら、高度な式の書き方を練習できます。

正味現在価値の計算

資本予算の策定で、現金流入額の現在価値から現金流出額の現在価値を差し引く方式のことを正味現在価値 (NPV) 法といいます。NPV を使用すれば、インフレやリターンを考慮に入れた上で、現在の 1 ドルの価値と将来の 1 ドルの価値を比較できます。将来の投資の NPV がプラスになれば、そのプロジェクトを受け入れます。NPV がマイナスになれば、キャッシュ・フローがマイナスになるという意味であり、そのプロジェクトを却下する方向で検討できます。

IBM® Rational® Focal Point™ は、式に基づいて NPV を自動的に計算し、採算の合わない投資を却下できる場合は、その旨をアラートとして通知します。

前提条件:
  • すべてのプロジェクトを 1 つのモジュールに入力する必要があります。
  • 現在日付と将来の日付 (4 年後など) を基準にしたすべてのプロジェクトのキャッシュ・フローの値を入力する必要があります。
  • すべてのプロジェクトについて資本の機会費用の値を入力する必要があります。
NPV データの例:
Project Name (プロジェクト名) Opportunity Cost of Capital (資本の機会費用) CF today (現在のキャッシュ・フロー) CF Year 1 (1 年後のキャッシュ・フロー) CF Year 2 (2 年後のキャッシュ・フロー) CF Year 3 (3 年後のキャッシュ・フロー) CF Year 4 (4 年後のキャッシュ・フロー)
A 6 -200 0 0 220 220
B 6 -200 100 100 100 100
プロジェクトの NPV を計算するには、以下のようにします。
  1. NPV という名前の浮動小数点属性を追加し、デフォルト値として指定します。
    =-'CF today' + 'CF Year 1'/(1+'Opportunity Cost of Capital') + 'CF Year 2'/(1+'Opportunity Cost of Capital')**2 + 'CF Year 3'/(1+'Opportunity Cost of Capital')**3 + 'CF Year 4'/(1+'Opportunity Cost of Capital')**4
  2. フォルダー・タイプのプロジェクト・モジュールのすべてのエレメントが false、NPV が 0 未満」というビュー規則でビューを作成します。
  3. このビューをホーム・ページに追加して、ウィンドウの名前を "要注意! 却下が望ましいと思われるプロジェクト:" にします。

すべてのプロジェクトの Opportunity Cost of Capital 属性が最上位フォルダーの Opportunity Cost of Capital を参照するように変更することも可能です。そのためには、='Projects!Opportunity Cost of Capital' という式を入力します (複数編集を使用してください)。

このように設定しておけば、最上位フォルダーの Opportunity Cost of Capital を変更するだけで、各プロジェクトのその属性が自動的に更新されます。

費用の上昇に関するアラートの設定

要件のコストが大きくなりすぎた場合にアラートを生成するように Rational Focal Point を設定できます。

前提条件:
  • すべての要件の実装に要する推定時間の値を入力する必要があります (Estimated Time)。
  • 実際にかかった時間に基づいてすべての要件を絶えず更新する必要があります (Actual Time)。
コストの上昇に関するアラートを作成するには、以下のようにします。
  1. Alert という名前の整数属性をデフォルト値として追加し、=('Actual Time'*1.1>'Estimated Time')?1:0 というテキストを入力します。
  2. フォルダー・タイプの要件モジュールのすべてのエレメントが false、Alert が 1」というビュー規則でビューを作成します。
  3. このビューをホーム・ページに追加して、ウィンドウの名前を "要注意! 予算のコストを 10% 上回っている要件:" にします。

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