ローカル管理では、オブジェクトの制御と更新がローカルで行われます。そのオブジェクトが当該データベースへの DCM 転送パッケージに含まれている場合、DCM 受信のインポート・フェーズ中はそのオブジェクトがスキップされます。ローカル管理の利点は、各データベースがオブジェクトのプロパティーを個別に制御できることです。この操作は、他のデータベースで使用されるプロパティーからは独立しています。欠点は、複数のデータベース間でプロパティーの一貫性を保ちたい場合に、それらのプロパティーの保守と更新を各データベースで個別に行わなければならないことです。このような維持管理は、保守の負担を増やすことになります。
中央管理では、オブジェクトごとに 1 つのマスターと制御コピーが存在し、定義されたデータベースから管理されます。そのオブジェクトに対する変更は、管理データベース内でのみ行われます。そのオブジェクトのコピーは DCM クラスター内の他のデータベースに複製され、制御コピーで行われた変更内容で更新されます。DCM では、オブジェクトの制御権を現在の管理データベースから別の指定データベースにハンドオーバーすることができます。制御権のハンドオーバー後は、そのオブジェクトは新しい管理データベースでのみ管理されるようになります。別のオブジェクトは別のデータベースで制御することができます。ただし、通常の使用パターンでは、リリース定義などのすべてのオブジェクト (または、少なくとも指定したコンポーネントのリリース定義) を 1 つのデータベースから制御することになっています。中央管理の利点は、DCM クラスター内で一貫性が保てることと、ビルド・マネージャーに対する保守負担を軽減できることです。欠点は、管理データベース内でしか変更を実行できないことと、オブジェクトのプロパティーをデータベースごとに異なる設定にできないことです。
DCM では、混合アプローチもサポートしています。例えば、一部のリリースではユーザーがリリースとそのプロセス・ルールを中央制御し、それ以外のリリースはローカル制御することが可能です。また、DCM では、リリースを中央制御する一方で、そのリリースの一部のプロセス・ルールをローカル制御することも可能です。この操作を行うと、特定のデータベースに異なるプロセスを実装することができます。ユーザーは、リリース固有のプロセス・ルールをローカル制御して、そのデータベースにローカルな変更を加えることができます。このプロセス・ルールは、そのリリースの有効な目的として、リリースと関連付けられたままになります。
DCM では、ユーザーがローカル制御と中央制御の使用モデルの間で切り替えることができます。あるオブジェクトが複数のデータベースで定義されている場合、そのオブジェクトはそれらの各データベースでローカル制御されます。そのオブジェクトを中央制御するには、以下の手順を実行します。
中央制御を中断し、ローカル制御のオブジェクトに戻すには、「管理データベースの選択 (Select Controlling database)」ダイアログまたはコマンド・ライン・オプションを使用して、ローカル制御を指定します。オブジェクトの詳細は変更されません。ただし、そのオブジェクトには新しい固有のクラスター ID が割り当てられます。このクラスター ID は、そのオブジェクトが別のオブジェクトであり、DCM 受信で更新されるものではないことを意味します。