IBM® Rational® では、 Reusable Asset Specification (RAS) を利用し、関連するファイルをパッケージおよび抽出する標準的な手段を提供します。RAS アセットは、RAS 仕様に基づいてパッケージされた関連するファイルと成果物の集まりです。
RAS アセットを使用すると、利便性が高く一貫性のある手段でソリューションを体系化、文書化、共有、保管、および復元するため、他のユーザーとソリューションを共有するプロセスが単純化されます。
アセットのサイズ、複雑さ、目的はさまざまです。RAS アセットの有効範囲を制限するのは、コンシューマーのニーズに対応する製作者の設計のみです。RAS アセットの例として、ソース・コードのヘッダーとフッターを作成するために、部署のすべてのユーザーが使用する参照ファイルを格納したアセットが考えられます。 ヘッダーとフッターに、製品の識別番号と、コードを保護するための著作権表示を記載します。アセットには、デフォルトのネットワーク・リソースの場所を設定することもできます。RAS アセットの別の使用例として、設計パターンとコード・テンプレートを格納する一連のアセットを作成することもできます。このような RAS アセットには、共通に使用するコードの構造およびモデルを格納します。適用すると、アセットはただちにコードに変換されます。
さらに複雑な RAS アセットの設計では、システム要求の変更に適合するよう作成したサブシステムのアーキテクチャーを組み込むこともできます。このようなアセットをアプリケーション全体の基盤とすることができます。文書は大量になりますが、アセット構造との整合性を保ってアセット内に格納されます。製作者の Web サイトにあるファイルを参照することもできます。
RAS アセットには、多くのタイプの成果物を格納することができます。例えば、設計モデル、ユースケース、パターン・アセット、Web リンク、コード・サンプル、テキスト・ファイル、テスト・データなどです。長期にわたる再利用を目指すアセットでは、アセットの目的、用途、内容、コンテキストを要約した適切な文書が有益です。アセットが要求を満たすかどうかをコンシューマーが判断する際に、文書は重要な役割を果たします。
RAS アセットには、以下の利点があります。
RAS アセットの価値を決めるのは、標準と一貫性です。Reusable Asset Specification (RAS) では、RAS アセットのアセンブル、編成、保管、文書化のガイドラインが提示されています。 IBM Rational では、これらのガイドラインを順守する RAS アセットの作成、文書化、テスト、パッケージのためのツールを提供しています。RAS アセットを作成する主な目的は再利用です。 IBM Rational ツールではローカルおよびリモートのリポジトリーにあるアセットを検索、アーカイブできるため、アセットの共有が可能です。
RAS アセット製作者は、RAS アセットのマニフェスト・ファイルにデータを設定するプロンプトに従って、RAS アセットについての基本的な情報を入力します。このデータに基づいて、潜在的なコンシューマーはリポジトリーを検索し、ニーズに合う特定のアセットを探します。 文字列検索に組み込むアセット情報として、作成者、説明、分類ディスクリプターなどが挙げられます。
RAS アセットを作成すると、アセットの成果物はすべて ZIP 形式のアーカイブ・ファイルに組み込まれます。このファイルには .ras という拡張子が付きます。マニフェスト・ファイル manifest.rmd には、アーカイブ内のすべてのファイルの情報を持つレコードと、RAS アセットのインポート時にファイルを見つける手順が格納されています。
リポジトリー・リストにリポジトリーを追加し、RAS アセットの表示、検索、インポートができます。 「アセット・エクスプローラー」ビューには、パターン・リポジトリーもプリロードされます。