この演習では、口座処理機能領域と PiggyBank ドメイン・モデル図を作成します。ドメイン・モデル図は、システム内のメイン・クラスを示すクラス図を使用することによって、PiggyBank システムのドメインを表します。
分析モデルは、モジュール 1 で識別した口座処理機能領域を基礎としています。口座処理パッケージには残高表示、振込、小切手換金ユースケースの実現に加えて、口座処理分析要素サブパッケージが含まれています。口座処理分析要素サブパッケージには、モデルの静的構造をモデル化するときに作成する Rational Unified Process® (RUP®) 分析要素が含まれています。また、このパッケージには口座処理分析要素図も含まれ、これはドメイン・レベル図を作成するためのワークスペースとして使用されます。
ドメイン図はクラス図の一種であり、PiggyBank オンライン・バンキング・システムのメイン・クラスを示します。シンプル・クラス図は、直前の演習で識別したメイン・クラス、クラスの属性、およびクラス間の関係を示します。ドメイン・モデルはシステムのドメインのみを表し、アプリケーション自体の詳細は表しません。ドメイン・モデルは、システムのエンティティー・クラスとそれらの関係のみをモデル化することによって、このような特性を実現しています。ドメイン図はシステムの構造のみをモデル化するため、静的であるといえます。この演習では、エンティティー・クラスを作成し、その属性をモデル化します。ユースケースごとにシーケンス図を作成する場合は、エンティティーごとにその操作を識別してモデル化します。
モデル化は反復プロセスです。モデル化しているシステムについての情報を発見するにつれて、ドメイン・モデルが変更されます。このチュートリアルでは、基本的なドメイン図のアウトラインを作成し、エンティティーごとにすべての属性をモデル化します。
分析モデルはユースケース・モデルを基礎としているため、口座処理機能領域は、PiggyBank 分析要素とユースケースの実現を保管します。 新規の口座処理機能領域をモデルのルートに作成する必要があります。
口座処理機能領域には、PiggyBank 分析モデル用のユースケースの実現と分析要素が含まれています。口座処理分析要素サブパッケージには、プロジェクトのすべての分析要素が含まれています。口座処理分析クラスのクラス図をワークスペースとして使用して、PiggyBank ドメイン図を構築できます。
口座処理機能領域内にドメイン・モデル図を作成し、次に、視覚化されたモデル要素を分析モデル・テンプレートの «perspective» 概要パッケージにコピーします。 口座処理分析クラス図は図を作成するためのワークスペースですが、«perspective» 概要パッケージには図の最終コピーのみが含まれ、クラスは含まれません。
PiggyBank 分析要素図を作成しました。この図は、機能領域の構造内のクラスを作成し視覚化できるワークスペースです。このパッケージ内にドメイン・レベル・クラス図を作成し、次に、完成図を «perspective» 概要パッケージ内にドラッグしてモデル化を完了する必要があります。
口座クラスは、PiggyBank ユーザー・アカウントを表します。口座クラスは、getBalance や findForCustomer などの口座クラスに関連した機能タスクを記述します。
振込クラスは、顧客がある口座から他の口座へお金を振り込むときに発生する取り引きを表します。振込クラスには、口座クラスとの関連が 2 つあります。
振込クラスのモデル化が完了しました。
振込クラスは、口座クラスに依存します。
振込クラスの関係のモデル化が完了しました。作成した図は次のようになります。
小切手クラスは、PiggyBank で現金化される小切手を表します。
小切手クラスのモデル化が完了しました。作成した図は次のようになります。
小切手クラスは口座クラスに依存します。
小切手クラスの関係のモデル化が完了しました。
カスタマー・クラスは、PiggyBank 顧客を表します。
カスタマー・クラスのモデル化が完了しました。
口座クラスは、カスタマー・クラスに依存します。
カスタマー・クラスの関係のモデル化が完了しました。さらに、ドメイン図の基本アウトラインが完成しました。作成した図は次のようになります。
この図は、システムのメイン・クラスの構造と、それらの間に存在する関係を表すことによって、システムの基本ドメインをモデル化します。例えば、固有のログイン ID と名前によって識別された顧客が、複数の口座を所有することがありますが、1 つの口座が複数の顧客に属することはありません。
ここでは、«perspective» 概要パッケージ内に PiggyBank ドメイン・モデル図を作成します。これは、概要とナビゲーション情報を提供する図の最終バージョンです。
«perspective» 概要パッケージ内に PiggyBank ドメイン・モデル図を作成しました。 これが図の最終バージョンとなります。口座処理分析クラスのクラス図を大まかなワークスペースとして使用して、ユースケース参加プログラム図を作成できます。
継続する場合は、『演習 2.4: 口座処理ユースケースの実現概要ダイアグラムの作成』に進みます。