絵コンテでは、システムのユーザーとシステムの間に必要な相互作用を含めて、特定のシナリオにおけるシステムの機能性を論理的および概念的に記述します。絵コンテは「特定のストーリーを物語る」役目を果たします。 
役割:  システム分析者  
オプション度 / 使用時期:  オプション。方向づけフェーズの初期に要求を顕在化する過程で作成される
テンプレートとレポート: 
 
例:   
UML の表現:  なし
詳細情報:   
成果物を入力とする作業:    成果物を出力とする作業:   

目的 ページの先頭へ

絵コンテを使用するのは次の人々です。

  • システム分析者。要求を顕在化する作業の一環として、ユーザーが想定する振る舞い的な相互作用を見つけ出し、明確化し、把握する目的で使用します。
  • ユーザー インターフェイス設計者。ユーザー インターフェイスを設計し、ユーザー インターフェイスのプロトタイプを作成する目的で使用します。
  • ユーザー インターフェイスの機能性を提供するクラスの設計者。システムとユーザーの相互作用を理解し、ユーザー インターフェイスを実装するクラスを適切に設計するためにこの情報を使用します。
  • システムの次期バージョンの設計者。システムによるイベント フローの実行順を理解するために使用します。
  • テスト担当者。システムの機能をテストするために使用します。
  • 管理者。分析と設計の作業を計画し、進捗を管理するために使用します。

絵コンテは個々のユース ケースを対象として定義することができます。それによって、ユース ケース駆動型のソフトウェア工学アプローチを支援すると同時に、ユース ケースに対するユーザー (アクター) の想定と、ユース ケースのイベント フローにおける各ユーザー (アクター) の役割を検証するための非常に有効な手段として機能します。

記憶しておくべき重要な点として、絵コンテの主な目的は、ユーザー インターフェイスのプロトタイプを作成したりそのルック アンド フィールをテストすること (それらはユーザー インターフェイスのプロトタイプの目的です) ではなく、全体的なフローと相互作用の理解にあります。絵コンテでは、ユーザー インターフェイスのウィジェットや、ユーザー インターフェイス関連のその他の対処事項については扱わないことが推奨されます (それらはユーザー インターフェイスのプロトタイプによって扱われるべきものです)。

プロパティ ページの先頭へ

絵コンテは視覚的表現またはテキスト表現を使用して、あるいはその両方を組み合わせて表すことができます。個別の例については、「ガイドライン: 絵コンテ」を参照してください。

タイミング ページの先頭へ

絵コンテは、方向づけフェーズの初期に要求を顕在化する過程で作成されます。

絵コンテは、その絵コンテが記述するフローと並行して作成され、使いやすさの観点から検討の対象となります。絵コンテはその他の要求成果物と同時期に作成することも、後から作成することもできます。

責務 ページの先頭へ

システム分析者 の役割にある人物は、絵コンテの整合性に責任を持ち、次のことを保証します。

  • 絵コンテが理解しやすく、その目的に合っていること。
  • システムに想定される振る舞いを絵コンテが正しく把握していること。
  • 絵コンテに関連づけられる、使いやすさに関しての要求が理解しやすくその目的に合っており、それらの要求がシステムの使いやすさに関する要求を正しく把握していること。

絵コンテの作成に関するガイドラインは、「ガイドライン: 絵コンテ」を参照してください。

カスタマイズ ページの先頭へ

対象のプロジェクトで絵コンテが役立つかどうかを判断します。絵コンテの内容は、プロジェクトのニーズに合わせてカスタマイズすることが推奨されます。カスタマイズには、プロパティの一部だけを作成することや、これらのプロパティを作成、管理する際の形式性のレベルのカスタマイズが含まれます。

絵コンテはしばしば一時的な成果物として捉えられます。振る舞いの要求がいったん理解され、ユーザー インターフェイスのプロトタイプ化または実装を行う段階にまでプロジェクトが進むと、絵コンテの保守が行われなくなる場合があります。ただし、何回かの反復を通して絵コンテを保守するとよい場合もあります。たとえば、理解するのに時間がかかる (何回かの反復を経る必要がある) 複雑な要求がユーザー インターフェイスに課せられる場合などです。また、絵コンテを実際のユーザー インターフェイスと組み合わせることも、エンドユーザー向け文書の情報源として役立ちます。



Rational Unified Process   2003.06.15