演習 1.4: アクターの識別

この演習では、システムのアクターを識別します。口座処理ユースケース図では、キー・アクターおよびそのキー・アクターがシステム内で実行するロールを識別します。図を作成する前にすべてのアクターを識別する必要があります。

システムのモデル化を始める前に、そのシステムのユーザーが誰かを理解する必要があります。ユースケース図では、システムのユーザーはアクターと記述されます。各アクターは、システム内でユースケースと呼ばれる特定のロールを実行します。複数のアクターが単一のユースケースを実行できます。アクターは顧客などの個人、あるいはデータベース・システムまたはサーバーなどのコンピューターとすることができます。

口座処理ユースケース図には、PiggyBank オンライン・バンキング・システム、システムのユーザー、システムとユーザーの関係、およびシステムの必須動作に関する詳細情報が含まれます。前の演習では 3 つのユースケース (「残高表示」、「振込」、および「小切手換金」) を識別しました。PiggyBank オンライン・バンキング・システムには、次のアクターが含まれます。
  • 顧客
  • 出納係
  • CityBank

アクターの識別

システムのユーザーはアクターと記述されます。ユースケース図を作成する前に、システム内のすべてのアクターを識別する必要があります。

図を作成してアクターを識別するには、次のようにします。
  1. 「モデル・エクスプローラー」ビューで、「PiggyBank」プロジェクトの「口座処理ユースケース (Account Operations Use Cases)」をダブルクリックします。
  2. パレットで、アクター要素をダブルクリックし、そのアクターに Customer という名前を付けます。
  3. 「顧客」アクターをクリックして、「残高表示 (Display Balance)」ユースケースの左方にドラッグします。
  4. パレットで、アクター要素をダブルクリックして、そのアクターに Teller という名前を付けます。
  5. 「出納係 (Teller)」アクターをクリックして、「小切手換金 (Cash Check)」ユースケースの左方にドラッグします。
  6. パレットで、アクター要素をダブルクリックし、そのアクターに CityBank という名前を付けます。
  7. 「CityBank」アクターをクリックして、「小切手換金 (Cash Check)」ユースケースの右方にドラッグします。

これで、ユースケース図が正しい Rational® UML モデル構造ガイドラインに従って編成されました。基本アクターは、図の左上隅に現れ、最も重要なユースケースはその他のすべてのユースケースより上に現れます。第 2 ユースケース (CityBank) はユースケースの左方に現れます。作成した図は次のようになります。PiggyBank ユースケース図のアクターおよびユースケース。

(オプション) アクターの文書化

ユースケース・モデル・テンプレートには、モデルに関する追加文書を提供する「<<perspective>> 概要」と呼ばれる概要パッケージが含まれています。このステップはオプションであり、モデルには影響しないとはいえ、PiggyBank オンライン・バンキング・システムにおけるアクターおよびユースケースを編成して文書化する必要があります。

アクターを文書化するには、次のようにします。
  1. 「モデル・エクスプローラー」ビューで、「<<perspective>> 概要」を展開して、「アクター概要 (Actors Overview)」をダブルクリックします。この図には、プロジェクト内のすべてのメイン・ユースケースのリストが含まれることになります。
  2. 「モデル・エクスプローラー」ビューで、「口座処理 (Account Operations)」フォルダーを展開して、「顧客 (Customer)」「出納係 (Teller)」、および「CityBank」アクターをダイアグラム・エディターの中にドラッグします。
  3. ユースケースをダイアグラムの中央に横方向に整列させます。

これで、プロジェクトの重大なアクターを文書化することによって、このユースケース・モデルが読みやすくなりました。テキスト入力ツールを使用することによってタイトルを図に追加できます。ユースケース・テンプレートには、複数の機能領域に関係しているすべてのアクターを文書化するための「多用途アクター (Versatile Actors)」パッケージが含まれていることにも注意してください。このモデルには多用途アクターは含まれていないので、このパッケージは、右クリックしてから、「モデルから削除」をクリックすることによって削除できます。

続行するには、『演習 1.5: 「口座処理」ユースケース図の作成』に進んでください。

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