変化の管理の概要

変化は避けられないものなので、要求がプロジェクトを通して変化することは予測できます。要求の変化は、さまざまな外部要因や内部要因に影響されます。

外部要因とは、プロジェクト チームの管理範囲外の要因です。次のような要因があります。

内部要因とは、チームが管理できる要因です。次のような要因があります。

変更は避けられないものであるため、プロジェクト チームは変更を管理するプロセスを持つ必要があります。適切なプロセスを持つことにより、チームはプロジェクトを管理でき、変化の発見、影響の査定、システムに必要と思われる変更の組み込みなどを適切に行うことができます。効果的な変更管理プロセスは、次のステップで構成されます。

  1. 変化が避けられないものであることを認識し、それに対する計画を立てます。利害関係者によって要求された変更は、正当なものであり、重要なものとして扱う必要があります。利害関係者はシステムに実際の価値を付加する実際のニーズと潜在性を持っているためです。同様に、開発チーム メンバーからの要求もプロセスに反映する必要があります。メンバーはほかの誰よりもシステムについて理解しているためです。

  2. 要求のベースラインを作成します。すべての要求を識別したら、要求のベースラインを作成できます。ベースラインは、新規要求を比較できる参照のフレームを構成します。新規要求がリクエストされたときには、既存のベースラインと比較して、適用場所および既存の要求と競合しないかを確認します。

  3. 変更を管理するための単一のチャネルを確立します。提案された機能は、既存の機能、将来のリリースに予定されている機能、スケジュール、予算に深く影響する場合があります。したがって、すべての変更は単一のチャネル (小さいプロジェクトではプロジェクト管理者、大きいプロジェクトでは数人で構成される変更管理委員会) で検討する必要があります。ここでは、変更によるシステムへの影響と、提案された変更を承認するかどうかを決定します。

  4. 変更を階層的に管理します。要求の変更は上から下へ階層的に実行する必要があります。導入する要求は開発構想書に追加することができ、新規ベースラインを生成できます。要求間で追跡可能性関係を確立することにより、要求の変更によってサスペクト リンクが導入された場所をチェックし、この変更によるプロジェクト全体の波及効果を確認できます。

(この項は、"Managing Software Requirements: A Unified Approach" Dean Leffingwell/Don Widrig 著 Boston: Addison-Wesley, 2000(邦訳: 『ソフトウェア要求管理:新世代の統一アプローチ』、日本ラショナルソフトウェア株式会社、石塚 圭樹、荒川 三枝子 監訳) を参考にしています。)

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